Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 562 caractères · 291 écrans
この毒殺が、あまりに手際がよかったので相手の智恵の逞しさに、さすが平次も、煮えくり返るような忿怒と、それとはおよそ似もつかぬ、一種の感歎をさえ覚えるのでした。
これは一つの犯罪の傑作とも言うべきでしょう。冷たくて、残酷で、正確で、そのくせ、人を馬鹿にしたところがあります。これだけ巧妙に仕組まれた、スマートな犯罪に対すると、捕物の名人平次も、「手も足も出ない」といった、一種の位負けを感じないわけには行きません。
「この毒薬は本草学にも毒草譜にも、ないものだ。多分、オランダ人からでも手に入れた、南蛮物の大毒薬であろう」
「左様――少しでも残っていると都合がいいが――」
二人の本道の話を聴くと、平次はハッと気がつきました。先刻喜平が呑んだ毒薬の、薬包紙がそこに残っているはずだったのです。
紺と白と二枚重ねになって、山の高くなるほど、よく畳まれた紙――それは世にありふれた品には相違ありませんが、馴れた平次の眼には、咄嗟の間にも、折目の異常に高かったことと、包紙の紺がかなり汚れていることが、まざまざと焼きつけられております。
「おや?」
死体の側に湯呑と盆はありますが、あとで医者に見せるつもりで、そッと取退けておいた、紺と白の二重薬包紙が失くなっているではありませんか。