Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 562 caractères · 291 écrans
九
端っこを割いた証拠だ」
九
「親分、済まねえ、恐れ入った、――お春はたしかに、この市五郎が殺したに違えねえ」
「どうして殺した。そのわけを言え、それを知りたいばかりにお前をここへ伴れ出したのだ」
平次は縄もかけず、市五郎の水を浴びたように打ち萎れた姿を見下ろしました。
「親分、あのお春とお勢の阿魔が、二人で俺の娘のお雪を殺したんだ」
「何? お前の娘のお雪? あれは去年の秋、首を縊って死んだという話じゃなかったか」
「そうだ、親分、その通りだ。緋縮緬の扱帯で首を縊って死んだが、手を下さなくとも、お春とお勢が下手人だ」
「わけを話せ、わけを」
「こうだ親分、聞いて下さい……」
市五郎は涙ながらに語りました。
お雪というのは市五郎の一人娘、お春にもお勢にも劣らず美しく育ったのが、お針友達で懇意になって、互いに往来までしているうち、お春が、お雪の許嫁、酒屋の倅の長吉に心を寄せるようになったのが間違いの因でした。
去年の神田祭に、お春が言い出して、縮緬の揃いを拵えることを約束しましたが、親一人子一人の貧乏な荒物屋の娘のお雪が、父親の苦労を見兼ねて、明らさまにねだり兼ね、木綿の似寄りの柄を着てお祭へ出ると、待ち設けたお春とお勢から、さんざんに恥をかかされたのでした。