Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 562 caractères · 291 écrans
七
――浅葱の股引に素草鞋を履いて頬冠りをしていました」
「この暑いのにかい」
「だから可怪しいんで、――親分の前だが、あんな人間が堅気の家の敷居を跨ぐのは変じゃありませんか」
長六の言うのも無理のないことでした。女郎の手紙などを持って歩く吉原あたりの使い屋は、仕事の性質上、相手を呼出して渡すのが普通で、店の中へノコノコ入るような事はまずなかったのです。
「その使い屋の顔は見なかったんだね」
「ヘエ――、半分ぐらいは見えましたよ」
これではどうすることも出来ません。
七
「親分、ずいぶん待ったでしょう」
ガラッ八は子刻(十二時)近くなって、ようやく帰って来ました。
「どうした八、何か解ったか」
「解ったかは情けねえ。――三軒へ入り込んで、目の色まで見て来ましたよ」
「皆んな平気な顔をしているのか」
「平気なのは丸屋の源吉だけで、――いい気味だ――って吐かしましたよ」
「田原屋は?」
「驚きましたよ。自分の約束した薬で死んだと聞いて、ああ困った、どうしよう――と言いながら、フラフラと立上がって」
「身振りは沢山だ。それからどうした」
「石橋屋の久助はガタガタガタガタ顫え出しましたよ。