Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 562 caractères · 291 écrans
枕まで投り出すような、ムキ出しの男が、こんなに巧妙な殺しの計画を、何の支障もなく、極めて手際よく運べる道理はなかったのです。
夜の明けるまでには、どんな事をしても下手人を捜し出そうとした平次ですが、ここまで来ると、ハタと行き詰まってしまいました。眼の前には大きな屏風岩が、通せん坊をしているような心持だったのでしょう。
翌る朝。
「こんなわけでございます。あんまり渦の中へ入り込んで、かえって私には解らなくなってしまいました。どうしたものでございましょう」
平次は与力の笹野新三郎を、八丁堀の組屋敷に訪ね、自分を投げ出して相談したのです。
「なるほど、その様子では、一人縛れば、皆んな縛らなければなるまい。が、そんなことで弱音を吐くのは、日頃のお前にも似気ないことだな」
「ヘエ」
「婿の儀八が、薬の包紙を隠して、それを番頭のせいにしようとしたのは、どういうわけだ」
笹野新三郎は、吟味与力の筆頭で、若いが俊敏な頭の持主でした。
「儀八は、毒薬を送り届けたのを、日頃養父と仲の悪い、兄の源吉の仕業と思い込んだらしゅうございます」
「なるほど、ありそうな事だな」
「兄を庇う積りで包紙を隠しましたが、急場のことで、捨てる場所もなく、袂へ入れましたが、捜されるとすぐ見つかります。