Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 562 caractères · 291 écrans
「危ねえ、後ろから突き当る奴もねえものだ。何をあわてるんだ」
「御免下さいまし」
振り返ったガラッ八の袖の下を掻潜り様、ト、ト、トと前へ、物に驚いた美しい鳥のように駆け抜けたのは、紛れもなく若い女です。
「どっこい、待ちねえ。胡乱な奴だ」
後ろから伸びた八五郎の手は、その帯際をむずと掴みました。
「急ぐ者でございます。お許しを願います」
女は花見衣の袖に顔を埋めて、堤の夕闇に消えも入りそうでした。
「懐中物の無事な顔を見ないうちは、うっかり勘弁するものか」
八五郎は遊んでいる片手を働かせて、内懐から腹掛の丼から、犢鼻褌の三つまで捜っております。女巾着切と思込んだのです。
「八、何てえ事をするんだ。見れば御武家方に御奉公している御女中のようだ。無礼があってはなるまい」
平次は見兼ねて八五郎の肩を叩きました。
「ヘエ、巾着切じゃありませんかねえ。花時の向島土手で、不意に後ろから突当るのは、巾着切と決ったようなものだが」
ガラッ八はようやく手を放します。
「とんでもねえ野郎だ。――御女中、勘弁してやって下さい。こんな解らねえ野郎でも、役目があるんだから」
「ハイ、イエ」