Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 562 caractères · 291 écrans
「三吉が曲者と解ったわけは」
「船の居る場所を知って、楊弓を用意して来る隙のあるのは三吉だけさ」
「それにしても酒を持って船で来たはずだが――」
「それが詭計だよ。往きは渡船で行って、帰りに知合の船頭に頼んで船に乗せて貰ったと言うのが可怪しいと思わなかったかい。――あれは、船頭を一人仲間に引入れて、少し下手の土手に着けさせ、そっと登って、堤伝いに船の上へ行くと、狙いを定めて矢を射たのさ、――当ったと見ると、継弓を畳んで元の場所へ引返し、船を中流まで出して、いい加減のところから漕ぎ戻らせ、今向う岸から来たような顔をしたのだろう。船から船へ乗移ったのが疑わせない手だよ」
「どうしてそれが解ったんで、親分は?」
「楊弓の名人は、どんなに道具を大事にするか知ってるだろう。紫檀の継弓を捨てるくらいなら、自分の身体を隅田川へ捨て兼ねないよ。――俺はそう気が付いたから、村川の旦那に頼んで、そっと三吉の荷物を捜さしたのさ。三吉もそれを察したらしいが、あわよくば三千五百石の殿様を抱いて自首する積りで、逃げも隠れもしなかったのだよ。それにあの男は風呂へ入るところを人に見られるのをひどく嫌っていたそうだ。