Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(四)城の絵図面

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(四)城の絵図面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 139 179 caractères · 280 écrans

Aozora Bunko

ども、今日ばかりはどうすることも出来なかったのです。

一色道庵は、膝の上に載せた薬箱から、一と掴みの糠を出して、付添いの眼を忍ぶように、道々往来へ撒いて行きました。駕籠の垂を下ろしているので、どこを通るのか見当はつきませんが、扉の下の方に商売用の水牛の匙を挟んで、糠をこぼして行くくらいのことは出来たのです。平次はその後を追いました。駕籠を見失うと、往来にこぼした糠をたよりに、それでも、どうやらこうやら六本木まで辿り着きました。

駕籠はもうどこへ行ったか解りません。提灯で照しながら地べたを舐めるように、僅かに残る糠をたよりに来ると、

「野郎ッ」

不意に棍棒が耳をかすめます。提灯を叩き落されたのでした。

「あッ」

顔を挙げると、いつの間に集まったか、三方から五六人の人数、棍棒と匕首を、中には二条の白刃さえ交えて、

「え――ッ」

膾になれと斬りかかります。平次は鼬のように飛退きました。

「何をしやがるッ」

「黙れっ」

キナ臭くなるような襲撃。平次はもう一度白刃をかわすと、身を翻して五六歩。

「逃げるか平次」

「何をッ、これでも喰らえッ」

懐を探ると、取出したのは青銭が五六枚。