Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(四)城の絵図面
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(四)城の絵図面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 139 179 caractères · 280 écrans
銭形平次捕物控
一
一
「親分、大変な野郎が来ましたぜ」
ガラッ八の八五郎は、拇指で自分の肩越しに指しながら、入口の方へ顎をしゃくってみせます。
「大変な野郎――?」
銭形の平次は、岡っ引には過ぎた物の本に吸い付いて、顔を挙げようともしません。
「二本差が二人――」
「馬鹿野郎、御武家を野郎呼ばわりする奴があるものか、無礼討にされても俺の知ったことじゃないぞ」
「でもね親分、立派な御武家が二人、敷居を舐めるようにして、――平次殿御在宿ならば御目にかかりたい、主人姓名の儀は仔細あって申し兼ねるが、拙者は石津右門、大垣伊右衛門と申すもの――てやがる。まるでお芝居だね、へッ、へッ、へッ、へッ」
ガラッ八は箍の抜けた桶のように、手の付けようのない馬鹿笑いをするのです。
「御身分の方だろう、丁寧にお通し申すんだ。――その馬鹿笑いだけなんとか片付けろ、呆れた野郎だ」
小言をいいながら平次は、取散らかした部屋の中を片付けて、少し煎餅になった座蒲団を二枚、上座らしい方角へ直します。
「これは、平次殿か、とんだ邪魔をいたす。拙者は石津右門――」
「拙者は大垣伊右衛門と申す者」
二人の武家は開き直って挨拶するのです。