Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(四)城の絵図面
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(四)城の絵図面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 139 179 caractères · 280 écrans
箱一つの重さは中味の黄金だけ四貫目、箱を加えると五貫目にもなりますから、二つ抱えると十貫目、余程の力がないと持ち出せません。
門も木戸も内から鎖されたままになっていたといいますから、邸内に手引の者がない限り曲者は塀を越えて逃げたものと思わなければなりませんが、邸内に住んでいるのは、赤井左門の家の子郎党達ばかり、草履取りや仲間まで、千葉の領地から呼んだ正直者ばかりですから、そんな大それた人間は居るはずもありません。
そうすると曲者は、五貫目の千両箱を二つ抱えて、一丈あまりの高塀を越して逃げたことになりますが、これはちょっと人間業では出来そうもない離れ業です。まして、世間の評判通り、風太郎が若くて美しい女だとしたら、一体どんな事になるでしょう。
平次は腕を拱いて考えました。
「ガラッ八、手前その塀へ這い登ってみな」
「ヘエ――」
「身体も気も軽いのが自慢のお前じゃないか、それくらいの事は出来るだろう」
「出来ねえことはありませんが、泥棒の真似は気がさすな」
「何をつまらねえ、気取ったって褒めちゃやらないよ」
ガラッ八とうとうあきらめて、塀へ飛び付きました。高いといっても板塀ですから、内側からなら這い登れないことはありません。