Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(四)城の絵図面
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(四)城の絵図面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 139 179 caractères · 280 écrans
「母上、お家を退転したのは、私の本心ではございません。何と申しても、高力家は、三代相恩の御主」
「いえいえ三代相恩でも、兄玄蕃が手討になり、嫁の関まで殺されました」
「えッ」
「この上の義理立ては祖先への不孝になります。さア、帰りましょう。ここから出られないというなら、私が表門から乗込んで、御家老、御用人に申上げ、お前をつれて帰ります」
「それはなりません、母上」
志賀内匠は、薄暗い格子の内に、灯に背いたまま、頑として頭を振るのです。
「志賀様、――御免下さい。あっしは神田の平次という者ですが、少しはお母様の身にもなってあげて下さい」
平次はたまり兼ねて飛出しました。
「何を言う、お前は私の知らぬ人だ」
「この方は、今の私には杖柱のような方です。お前がここに居ることを突止めて下すったのも、嫁のお関が手討になったと見極めて下すったのも、みんなこの平次殿――」
「お手討?」
志賀内匠の声はさすがに顫えました。
「申しましょう。志賀様、こういうわけでございます」
平次は乗出しました。二度目の偽手紙でお関をおびき出し、目黒の下屋敷につれ込んだ高力左近は、恩人にして臣下、今はしかも自分の身代りになろうという志賀内匠の妻お関に、無体の恋慕を仕掛け、貞烈なお関の峻拒にあって、首を三太刀まで切った上、茣蓙に包んで目黒川に流した始末を、平次