Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(四)城の絵図面
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(四)城の絵図面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 139 179 caractères · 280 écrans
一人は浜松町の米屋の息子、もう一人は新網のやくざ者、いずれもお常の茶屋の帰り、町の小闇で、背後から貝殻骨の下をやられて、たった一と突きで死んでしまったのでした。
柴井町の友次郎は、全く気が違ったのではないかと思うようでした。多勢の子分を督励して、草を分け、瓦を剥ぐように下手人を嗅ぎ廻りましたが、相手が凄いせいか、まるっきり見当をつけさせません。
その間に平次も、友次郎の気を悪くさせない程度に、二三度お常の茶屋を覗きましたが、一回毎に、お常の容色が醜くなるのに気が付いただけで、あとは何にも掴めそうもありません。
お常の眉は虫に食われたように半分消えてしまって、右の頬に大きな引釣りが出来たと思うと、その次に行った時は、顔の色が妙に銅色になって、声までが、何となく不気味に嗄枯れておりました。さしもお常に未練を持った執念の狼達も、この頃から漸く影をひそめて、水茶屋は日増しにさびれて行く様子です。
「親分、お常が何だって、あんなにみっともなくなるんでしょう」
「さア――、これなら、俺が泊って行っても、お静やお前は安心するだろう」
「へッ、一言もねえ」
平次とガラッ八が、そんな事を言いながら引揚げたのは、お常の赤前垂姿を見た最後でした。