Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(四)城の絵図面

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(四)城の絵図面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 139 179 caractères · 280 écrans

Aozora Bunko

「それに大垣氏は、奥方の御身の上や一藩の運命も気遣ったのじゃ。内聞にしてくれるであろうな、平次殿」

石津右門はまた畳の上へ手を突きそうです。

国許の妾の愛に溺れて、病気と称して参覲を怠る殿様、公儀の思惑を測り、姪の奥方の悲歎を察し、絵図面を隠して、殿の参府を促そうとした、大垣伊右衛門の苦衷は、善悪はともかく、同情してやりたい平次でした。

「では、これでお暇いたします」

「とんだ骨折であったのう、平次殿、恩にきるぞ」

「…………」

平次は黙礼したまま八五郎を促して引下がりました。

*

その帰り途。

「親分、下女のお杉が大垣の手先になっていたとは気がつかなかったね」

ガラッ八は絵解きがして貰いたそうです。

「娘のお勇に頼まれて、真物の絵図面の入った畳紙を盗み、その後へ大垣に頼まれた畳紙へ、在り合せの偽の下絵図を入れておいたとは気がつかなかったよ、――お勇に頼まれなければ、ただ真物と偽物を換えておくつもりだったろう」

「娘の部屋から真物をさらって、大垣へ渡したのでしょうね」

「その通りだ。あのお杉という娘は、思いの外の智恵者さ。でも藤兵衛が自害したので、すっかり顛倒していたよ、――俺はあの時気がつくはずだったが――藤兵衛を疑ったばかりにお杉には気がつかなかったのは不覚さ。