Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lisez 新・水滸伝 (しん・すいこでん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 684 899 caractères · 1374 écrans
まだ朝霧の町はしんとしている。ぼつぼつ戸を開ける音や往来の車がカラカラ鳴るだけだった。横丁を出るとすぐ役署の門と大きな楊柳の茂みが眼につく。宋江は、後ろめたさに、
「婆。こっちから行こう」
と、べつな横丁へ交わしかけた。
「あら、どうしてです、だんな。葬儀屋の陳三郎はこっちですのに」
「だってまだ、起きていまい」
婆は、眼つきを、けわしくしていた。が、神妙に後について遠廻りしたあげく、やがて町中の大通りへ出た。そのころもう店屋もあらかた開いて、往来の人通りもふえていた。わけて四ツ辻には、毎朝の朝市が立ち始めている。
「だんな……。よくやったね」
婆はふいに立ちどまった。宋江はその眼光にぎょっとした。婆の両手の爪は自分の袖をかたくつかんでいたのであった。
「なんだ婆。ひとの袂をつかんで」
「覚えておいでよ。……おういっ、町の衆、人殺しだよ、人殺しだよっ。……この押司が、むすめの婆惜をたった今、殺しゃあがった。かたきを取ってくださいようっ」
「あっ、なにをいうか」
「ええい、この人殺し。人殺し――いッ」
「よせ、よせ吠えるのは」
宋江は狼狽のあまり、両手で婆の口を抱きふさいだ。