Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

Lisez 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 511 765 caractères · 1011 écrans

Aozora Bunko

「知らないよ。そんなことは、おまえはいったいなにものだ」

「おれかい、おれはさ、もと鼻かけ卜斎という鏃鍛冶のとこにいた、人無村の蛾次郎という者だが、どうも卜斎という師匠が、やかまし屋で気にくわないから、そこを飛びだして、いまではあるところの大大名のお抱えさまだ」

「バカッ」

「ア痛ッ。こんちくしょう、な、な、なんでおれをなぐりやがる」

「蛾次郎、いつきさまにひまをくれた」

「えーッ」

「いつ、この卜斎が、暇をやると申したか」

「あ、いけねえ!」

蛾次郎が、くるくる舞いをして逃げだしたのも道理、それは、雨ヶ岳からおりてきた当の卜斎、すなわち上部八風斎であった。

「野郎!」

ばらばらッと追いかけて、蛾次郎の襟がみをひっつかみ、足をはやめて、人無村の細工小屋へかえってきた。

「親方、ごめんなさい、ごめんなさい」

「えい、やかましいわい」

「ア痛え、もう、もうけっして、飛びだしません、親方ア、これから、気をつけます。か、かんにんしておくんなさい……」

わんわんと手ばなしで泣きだした。もっとも、蛾次郎の泣き虫なること、いまにはじまったことではないから、その泣き声も、たいして改心の意味をなさない。