Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 156 866 caractères · 318 écrans
虚無僧の天蓋はどんな頭でも顔でも隠せるし、宗次郎を殺して茶店の裏から逃込んで、着物を換えるのは、ほんの煙草二三服の隙で出来るからなア」
「…………」
老人はガックリ首を垂れました。平次の論告を承服した姿です。
「天蓋と尺八と血刀と紋付は、持出しようがなくて一と晩あの茶店に隠しておいたはずだ。今日八五郎に見張らせたのは、昼のうちに持出させないためだったよ」
平次の用意には寸毫の手ぬかりもなかったのです。
「親分さん、恐れ入りました。いかにも、宗次郎の野郎は、この老爺が手に掛けて殺したに違いございません。あれは、私の娘を殺しました。吉原で鳴らした芸者の小稲、去年の秋宗次郎に捨てられ、気が狂って自分の子を殺して、自分も身を投げて死んだことは御聞きでしょう」
老爺は板敷の上に双手を突きました。
「それを詮索するのに半日かかったよ、爺さん」
「お縄を頂戴いたします、親分さん」
「いや違う、宗次郎を殺したのはお前じゃない」
「親分さん、この私でございます。私一人でやった事でございます」
「いや違う、――宗次郎を殺した下手人は今晩にもここへ様子を見にくるはずだ」
「親分さん」
老爺はツト身を退くと、毛氈の中から一刀を引抜きました。