Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 156 866 caractères · 318 écrans
「親分、――今朝、朝飯が済んでから半刻(一時間)の間、主人の弟の伝之助はどこに居たか誰も知りませんぜ」
八五郎は早くも別の方面に手を付けて、最初の報告を持って来ました。
「よしよし、悪い事をする奴に限って、自分の居た場所などを、念入りに人に知らせておくものだ。伝之助は、馬鹿でなきゃア、潔白だろう」
「ヘエ――」
こう言われると、勢い込んだ八五郎もツイ気が抜けます。
「倅の今朝帰った姿を誰も見た者がないと言ったが、もう一度よく聴いてくれ。それから、皆んないつもの通り仕事をするように、と言ってくれ。あっちこっちへ固まって、コソコソ話しているのは、褒めたことじゃねえ」
平次はそう言いながら、まだ念入りに家の中を見廻っております。
「支配人の伝之助は、兄哥に逢いたがっているぜ」
金六は店の方を指さしましたが、
「もう少し、――今度は外廻りを見よう」
庭下駄を突っかけて外へ出ると、庭から、土蔵のあたり、裏木戸の材木を漬けた堀、夥しい材木置場から、元の庭へ帰って来ました。
「倅の部屋はどこだろう。――どこの家でも、息子は一番良い部屋を取りたがるものだが――」
「あれだよ」