Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 156 866 caractères · 318 écrans
「おや?」
驚いたことに、死骸の下には、山吹色の小判が一枚、キラキラと氷の中にめり込んで光っているのです。
拾い上げてみると、
「あッ」
平次が二度喫驚したのも無理はありません。小判は吹き立てと言ってもいいほど真新しい真物ですが、その表には、あるべきはずの検印が捺してなかったのです。
「親分」
「八、大急ぎで奉行所へ飛んで行って、書き役から、近頃検印のない御用金か何か盗まれた事がなかったか、訊いて来てくれ」
「ヘエ」
八五郎は、そう囁かれると猟犬のように飛んで行きました。
平次はその上に調べることがないと思ったか、溝から飛出すと、一丁目の玉屋へやって来ました。
「銭形の親分さん、――今お迎いに行ったところでした」
すっかり顛倒した庄八は、平次の顔を見るとヘタヘタと坐ってしまいました。
「昨夜番頭さんが家を出たのは、何刻時分だろう」
平次は手っ取早く調べにかかります。
「私は存じませんでしたが、店に居た小僧に聴くと、亥刻(十時)少し過ぎだったそうでございます」
「もう一人出たはずだが」
平次の問のさり気なさ。
「でも、若旦那はすぐお帰りになりましたよ」
庄八はツイこんな事まで釣られてしまったのです。