Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 146 725 caractères · 298 écrans
天運とあきらめて、神妙にお縄を頂戴せい」
「何を馬鹿な、俺は死んでも仇は討てるぞ、見ろッ」
右手に閃く龕灯、そのまま、後ろの焔硝樽へ投げ込もうとするのを平次は得意の投げ銭、掌を宙に翻すと、青銭が一枚飛んで、曲者の拳をハタと打ちます。
「あッ」
龕灯を取り落すと同時に飛込んだ平次、しばらく闇の中に揉み合いましたが、どうやら組伏せて、早縄を打ちます。
物置の外へ出ると、ガラッ八、これはお秋を縛って、漸く縄を打ったところ。
「親分、お目出とう」
「お、八か、骨を折らせたなア」
*
捕まえた曲者は、慶安の変に毒薬係を勤めた平見某の弟同苗兵三郎とその妹お秋、由井正雪、丸橋忠弥その他一党の遺志を継いで老中松平伊豆守、阿部豊後守をはじめ、一味の者に辛かりし人達へ怨みを酬い、太平の夢を貪る江戸の町人達にも、一と泡吹かせようという大変なことを目論んだのでした。
調べたら面白いこともあったでしょうが、人心の動揺を惧れて、兄妹二人は人知れず処刑されてしまいました。この時代には、よくそんな事が行われたものです。
平次は老中阿部豊後守のお目通りを許され、身に余る言葉を頂きましたが、相変らず蔭の仕事で、表沙汰の手柄にも功名にもなりません。