Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 146 725 caractères · 298 écrans
平次はもう一度藤助に戻りました。
「ヘエ――、二人っきりは違いありませんが、朝まで何にも気が付きません。あっしは友達仲間でも冷かしの種になっているほどの寝坊で」
「朝起きて見ると、――」
と源吉。
「雨戸を開けると、沓脱の上に、御主人が死んでいなさるじゃありませんか」
藤助はゴクリと固唾を呑みます。その時――、
「親分、大変ですよ」
ガラッ八が飛んで来ました。
「星野とかいう浪人者はどうした」
平次は何か重大なものを、ガラッ八の顔から読んだ様子です。
「二三日大熱で、身動きも出来ない病人ですよ」
「病人?」
「町内の本道――本田良全さんが来ているから嘘や仮病じゃありません。二年前から、ほんものの病気で――」
ほんものの病気と言うのが可笑しかったか、平次と笹野新三郎は顔を見合せて苦りとしました。
「それはとんだ命拾いだ。――病気でなきゃ、どんな疑いを受けたか知れない」
と平次。
「もっとも妹が一人居ますよ」
「幾つだ」
「二十一二で、滅法良い新造で――」
「馬鹿野郎ッ」
ガラッ八はとうとう馬鹿野郎を喰ってしまいました。
「親分さん、――万一ですよ。万一、それが仮病だったら、大変なことになりますよ」