Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 146 725 caractères · 298 écrans
三度目の火事があってから、五日も経ったのですから、これくらいの用意をされても、どうすることも出来ません。それに、時計もラジオもない世の中で、半刻(一時間)や四半刻(三十分)の喰い違いは、どうにでも誤魔化せたのです。
鎌倉町から浜町や松永町まで行って、適当な作業をするにしても四半刻もあれば充分でしょう。こうなると、不在証明のない奴が一番潔白だ――と。言いたくなるくらいです。
「こいつはいけない」
平次の酸っぱい顔というものはありません。
「三村屋の家に居る者が、外から雨戸を釘付けには出来ないじゃありませんか。伊助と文治は火は放けられませんぜ。親分」
ガラッ八の近頃の理屈強さ。
「裏から出て雨戸へ釘を刺すなり、心張りをするなりした上、まず店口へ火をつけて、それから元の裏口へ廻って、そこへも火を放けて家の中へ入ったのさ」
「なるほどね」
「店口には雑物は少ないが、裏は炭も薪もうんとある上、庇が藁葺で燃えがよい。裏の火の手が先にあがったから、見る方がちょっと誤魔化されたが、その実、裏口は外から閉っていなかったのだ――こう考えられないか。八」
「ヘエ――」
そう言われると一言もありません。