Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(三)酒屋火事

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 146 725 caractères · 298 écrans

Aozora Bunko

続いて呼出された番頭の要助。これはかなり注目されました。大番頭の半兵衛は年のせいでこの一二年は名ばかりの位に備わり、二番番頭の要助は、まだ三十四五の若盛りながら、先々代からの知遇を得て、近頃はもう一手に店を切り廻しているのでした。

典型的な忠義者、――といった感じの、几帳面に、忍従で少し片意地で、そのくせ愛嬌のある――こんなのがとんだ喰わせ者かも知れないと思ったほど「番頭型」の人間です。

「先代の幽霊を見たが――」

平次はこの話を二度くり返しましたが、要助は、

「ヘエヘエ、御尤もさまで、怖いことでございますな。ヘエヘエ」

いちいち合槌を打ちながら、御無理御尤もで聴いておりますが、腹の中では、すっかり平次を馬鹿にしている様子です。

平次は他の奉公人にも逢い、先代生前の頃と、今の商売の様子まで突っ込んで調べましたが、物事は円滑に進んでいるというだけで、店にも奥にも、何の不都合も不安もありません。

「八、どうも幽霊の言う事の方が違っていたかも知れないな」

「少し間抜けな幽霊じゃありませんか。親分」

「馬鹿、――間抜けに見えても、手前よりは悧巧だよ――俺は丸屋へ廻ってみるから、手前は稲葉屋へ行って千之助に逢って、徳力屋の家のことで、千之助一人だけしか知らない事があったら聞いて来てくれ。