Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 106 caractères · 292 écrans
不吉な予感に、平次はハッと耳を聳てました、が、釘の音は右に聞えたり、左に聞えたり、前に聞えたり、後ろに聞えたりするので、それが棺の蓋を打ちつける音でないと解って、何となくホッとした心持になります。
それから半刻ばかり、かなたこなたに残る有明の灯をたよりに平次は一生懸命捜しました。が、不思議なことに、ここに隠されたはずのお品が、どこに居るか影も形も見えません。
「おや」
バチバチと物のはぜる音、物の焦げる匂いがツンと鼻をつきます。
平次はもう一度ギョッとしました。奥の方から眼に焼金を当てるような、大幅の焔が、カッと氾濫して来たのです。
「火事だッ」
平次は思わず呶鳴りました。かなたこなたに寝ていた下女どもは平次の声と、焔の咆哮に驚いて、
「あッ、た、大変ッ、どうしよう」
あられもない姿の二十数人、悲鳴と共に殺到して来たのです。
平次もその人波に押されて、思わず表の方へ行くと、そっちからも一陣の焔、――いや、それだけではありません。後ろの方の羽目も、いつのまにやら真っ赤に焼かれて、猛火は三方から、二十幾人の女をあぶり立てるのでした。
「お品さんはどこだ、お品さんは?」