Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 106 caractères · 292 écrans
左門太はゴクリと固唾を呑みました。
「では、あなたは成滝近江様の一子、勇之進様とおっしゃるのが本名で――?」
「その通りだ、――父上、成滝近江は、三十何年前姫路を退転したとはかねがね聞いているが、その父上を、藤枝蔵人が討ったという懺悔話は、先日始めて三河屋で聞いた。――一と足先に家へ帰って、この果し状を認め、藤枝蔵人の家へ投げ込んだのが無理だろうか」
光川左門太は昂然として頭を挙げるのです。
「…………」
平次は真っ暗な心持になりました。それから先の言葉をどんな形式でこの男の口から引出したものか。敵討と間違えたにしろ、真の父親を手にかけたと知ったら、どんなに驚くだろう。平次はそんな事を考えると、このまま有耶無耶にして、逃出してしまいたいような気になるのでした。
「…………」
光川左門太も、平次の出ようを待つらしく、黙りこくって相手の顔を見詰めます。
「親の敵を討ったなら、名乗って出るのが本当じゃありませんか。死骸を捨てて逃出したのはどういうわけで――」
平次の言葉は丁寧ですが、仮借のない厳しさがあります。
「それだよ、平次、――親の敵を討ったのなら、俺はあの場で名乗って出る、――が、藤枝蔵人を討ったのは、残念ながらこの光川左門太ではなかったのだ」