Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 106 caractères · 292 écrans
「じゃ、下手人はやはりこの家の者でしょう」
「いや、違う、――これを見るがいい」
平次はガラッ八と一緒に庭に降りました。先刻見た裏口とは反対の方、奥の主人の部屋の前の板塀の上に、忍び返しが少し損じて、古釘に新しい巾が少し引っかかっていたのです。
「これは? 親分」
「曲者の残して行った手形だよ。花色木綿の裏地だ、――が一度も雨に当っていないところを見ると、一昨夜の曲者がここから逃げたものと決めてよかろう、――どうして家を脱け出したか、それが解りさえすれば」
平次は腕を組みます。
「親分、両国へ行ってみましょうか」
「ウム、玄々斎を当ってみよう。死相を占うのは法度だ、構わないからうんと脅かしてみるがいい」
「親分は?」
「俺は一と足後から行く」
「それじゃ」
ガラッ八は残る陽足を惜しむように両国へ飛びます。
その後で平次は、金三郎と久太郎と用助と、一人一人に逢ってみました。
「この店の後はお前が取るんだね」
「ヘエ――」
気の弱そうな金三郎は、たったこれだけの問にもう真っ青になります。万両分限の鳴子屋の身代のためには、虐げ尽されている養子の金三郎は何をするかも解らないと思われるかも知れないのです。