Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(九)不死の霊薬

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 106 caractères · 292 écrans

Aozora Bunko

ていたのです。

苦悶の跡も、刀槍の傷も、毒物の斑点もないのですから、卒中か心の病の頓死といっても、誰も疑う者はなかったでしょう。が、これを平凡な死にしてしまっては、「百四十四夜」と今宵を暗示した、不思議な判じ物の意味が判らなくなります。

そのうちに町内の本道(内科医)が来ました。誰が呼んだのかわかりませんが、息の絶えてしまった者には、「耆婆扁鵲」も施しようがありません。

「これは卒中だ。何とも致し方がない」

そこそこに立上がる本道の袖を、平次はそっと押えました。

「これでも卒中でしょうか、もう一度診て下さい」

平次は死骸を俯向きにして、そのぼんのくぼのあたりを指します。

「あッ、なるほど」

本道はあわてて眼鏡を取出しました。白石屋半兵衛の首の後ろ、ちょうど毛の生え際の急所に、蚊にさされたほどの、小さい小さい傷があったのです。

「こいつは人間の命を取るほどの傷じゃないでしょうか」

「いかにも、これは大変だ。――頂門の一針とはこのことだ」

「八、この家の者を、一人も外へ出しちゃならねえ、――それから、宵に来た按摩をつれて来てくれ。手荒なことをするな」

「ヘエ――」