Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(九)不死の霊薬

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 106 caractères · 292 écrans

Aozora Bunko

妙な緊張に囚えられて、唇は動きますが、それが言葉にならなかったのです。

「三河屋から参りました。――旦那が紙入をお忘れになったんで、持って来ましたが」

「あ、長吉さん、どうも有難う」

お礼は身体を斜めにして、戸口へ行灯の灯を向けるようにしました。

「お金ばかりでなく、書付けや印形が入っているから、番頭さんも今晩のうちにお届けした方が間違いがなくてよかろう――って言うんです」

「まア、御親切に――一人で来て下すったの、長吉さん」

お礼は小僧の後ろ――誰やら付いて来ているらしい人の影に気が付いたのです。

「いえ、送って下すったんです」

「そう、ちょっと待って下さいな」

お礼はお使い賃に鳥目をやろうか、それとも、お菓子の方がよかろうか、フトそんな事を迷った様子でしたが、やがて戸棚から干菓子を出して、半紙に包んで持って出ると、長吉の後ろに立っている、若い浪人者と、ハタと顔を合せてしまいました。

三河屋の縁故の者で、客分とも居候ともつかず、この二三年厄介になっている、佐々波金十郎という男、まだ二十七八でしょうが、腕も才智もすぐれた上、男前も恰幅もなかなかに見事です。お礼は真っ赤になって立竦みました。