Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 562 caractères · 291 écrans
どこまで行っても話は軌道に乗りません。
「だがね八。升屋には一体どんな化物が出るんだ」
平次はようやく真面目になります。化物退治も暇なときには満更でないと思ったのでしょう。
「化物だか幽霊だか知りませんが、升屋では三月ほど前から変なものが出て、奉公人が居着かなくて困るそうですよ。主人の由兵衛も心配はしているが、商人に似合わぬ確り者で、こんな事が世間へ知れちゃ、商売にも障るだろうし、神田草分けと言われる升屋の暖簾にも関わるから、なるべく人に聞かせたくねえ――とこう言うんだそうで」
「なるほど。升屋の主人の言いそうな事だ」
「――たぶん狸か狐の悪戯だろう。捕めえた者には褒美をやると言うんだそうで」
「フーム」
「ところが、その化物は、おそろしく人見知りをして、主人夫婦と一番番頭の金蔵が寝泊りをしている、奥の離室へは出るが、多勢の奉公人の居る、店の方へは気振りも見せないんだそうですよ」
「贅沢な化物じゃないか」
「主人の由兵衛はあの気象だから、お内儀が閉口して、店の方へ行って休もうと言っても、どうしても聴かねえ。――子供騙しの化物騒ぎに脅かされて、七年間も寝起きをした離室を明け渡すのは、町人の恥だてんで――」