Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 562 caractères · 291 écrans
「驚いちゃいけませんよ。親分、お内儀のお蔦を縛って行きましたぜ」
「何だと、馬鹿野郎」
平次はガラッ八を叱り飛ばしているのでした。
「お蔦を縛ったのは、あっしじゃありませんぜ。三輪の万七とお神楽の清吉で――」
「あの女が元の亭主を殺したというのか」
「何だか知らねえが、骸骨を入棺しようとすると、されこうべの口から、噛み切った小指の骨がボロリと落ちたんで――」
「あッ」
「驚くでしょう親分。――お内儀の左の手には小指がねえ、――ちょうど親分のアラ捜しにやって来た万七親分は、それを聴くとすぐお内儀に縄を打った」
「よしッ、そんな馬鹿な事があるものか。もう一度行こう」
平次はガラッ八を追っ立てるように、升屋へ飛んで行きました。
升屋の中は恐ろしい事件の続発に怯えて、滅入ったような陰惨さ。
「死骸の口から出た小指というのはここにあるだろうね」
平次は挨拶も忘れて、主人の由兵衛に訊ねました。
「これですよ、親分」
指さしたのは、経机の上の小さい箱に入れた紙包、――心忙しくひろげてみると、
「何だ。こりゃ女の小指じゃねえ」
平次は少し拍子抜けがした様子です。
「私もそう思いました。