Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(二)八人芸の女

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 562 caractères · 291 écrans

Aozora Bunko

万七がそう言うのも一理ありました。

「だが、待ってくれ。それにしちゃ、あの番頭は、あんまり自分に不為な証拠を拵え過ぎた。――それに、犬の足跡に血の付いていたのは、どう片付けるんだ」

平次には腑に落ちない事ばかりです。

「野良犬が血の匂いを嗅いで来て、縁側の戸が開いていたんで、死骸の側まで来たんだろう」

「…………」

それも考えられない事はありませんが、匕首を土の中へ打ち込んだ石を、沓脱の側に転がしておいたのはどうしたわけでしょう。

「銭形の兄哥、他に下手人の当りでもあると言うのかい」

万七は勝誇った中にも一脈の不安があります。

「それが解らないから困っているんだ。薄雲の馴染客の中には、手代の茂助や、植木屋の倅の重吉の名もあることだし」

「それにしても、人二人殺すのは容易じゃねえ。薄雲の客の仕業にしちゃ、大袈裟だぜ」

「とにかく、もう一度当ってみることだ」

平次は手代の茂助を呼出して、もう一度昨夜の事を訊いてみました。が、半通夜で疲れていたので子刻(十二時)過ぎは何にも知らないと言うだけ、薄雲との関係を訊かれると、

「それだけは勘弁して下さい。主人に知れると、たとえ以前は勤めの身でも、あんまり好いお心持はなさるまいと、一生懸命秘し隠しに隠した上、御新造にも、おくびにも出さないように頼んでおきました。