Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 562 caractères · 291 écrans
盗んだ金を恵まれたって、好い心持のものじゃあるめえ。悪事を働いて人助けをするなんてのは、お釈迦様も御存じのない善根だよ」
銭形の平次がこんなに激しい言葉を使ったのを、ガラッ八は見たことも聴いたこともありません。
「驚いたねえ親分、そんなに腹が立つんですかい」
「人の物でも盗ろうというほどの量見なら、一度は処刑になって、地獄へ真っ逆様に落込む覚悟をするがいい。運上の積りで善根を施す泥棒なんか、俺は虫が好かないよ、――そのうちにきっと俺の手で縛ってやるから、見ているがいい。嘘だと思うなら、構う事はねえ、江戸中へ触れて歩くさ」
日頃、滅多に腹を立てない平次が、虫の居所が悪かったものか、こんなとんでもない事を言うのでした。
この噂が、パッと江戸中に拡がった頃から、「千里の虎」は時々平次をからかい始めました。
最初は、平次の家のすぐ前、路地の外の酒屋――枡田屋に押込んで有金五十両ばかりを出させ、「ここで待っているから平次を呼んで来な、後学のために千里の虎の姿だけでも拝ませてやらア」と、丁稚をツイ近所の平次のところまで使いに出し、平次が店から入って来ると同時に、裏口から抜出して姿を隠してしまいました。