Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 562 caractères · 291 écrans
その晩は全く見物でした。
今まで押入られる先を警戒して、いつでも出し抜かれた平次は、その日は宵から庚申横町の外、駄菓子屋の店を借りて張り込むことにしたのです。
「親分、もう酉刻半(七時)ですよ」
「シッ」
二人は半分閉した店の障子の間から、庚申横町の口を厳重に見張っております。
「最初に出て来た人間を捕まえりゃよいでしょう」
「そうだよ」
恐ろしい緊張――、二人は思わず固唾をのみました。
四方がすっかり暗くなった頃。
「…………」
眼の早い八五郎は、平次の肘をちょいと突きます。庚申横町の木戸を内から開けて、闇の中へスッと出た者があるのです。
「御用ッ」
飛付いた平次。
「何をしあがるッ」
曲者は恐ろしい剛力で突飛ばしました。
「神妙にせい」
後ろから八五郎がガバと組付きました。
が、この捕物は思いの外早く片付きました。キリキリと縛り上げて、街の灯のさすところまで連れて来ると、それは予期した通り、竹の市の怪奇な坊主頭です。
「銭形の親分、悪い冗談だ、私をどうなさる積りで」
「黙れッ」
平次は無愛想にきめ付けて、番所まで引いて来ました。
「平次、『千里の虎』を挙げたそうだが、大層な手柄だ」