Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 562 caractères · 291 écrans
「ここでございます、親分さん」
徳三郎の指さした光景は、全く惨憺たるものです。主人の総七――まだ三十そこそこの若い男が、納屋の裏、本屋の裏二階の下で、幾十貫とも知れぬ、屑金物入の箱の下敷になって首を胴にメリ込ませて死んでいたのです。
「銭形の親分、御苦労様で、――お呼立てしてすみません」
「おや、お前さんは?」
「先代の弟の勝造でございます。主人総七の死にようがあんまり不思議でなりませんから親分さんに来て頂くように申付けました。四半刻ばかり私がここに頑張っていて、誰にも手を付けさせません。どうぞ、御覧下さいまし」
五十前後、分別盛りという年輩ですが、小博奕が好きで身が持てなかったと言うだけに、何となく、人へのしかかって来るような気の強そうな男です。紬の地味な袷、帯も、髪も、堅気な町人になり切っておりますが、言葉の底や、大きい眼の中には、決して人に下らない、傲慢な魂がピチピチ躍ります。
「それはよく気が付きなすった。――見付けたのはいつ頃でしょう」
平次は相変らず蟠りもありません。
「半刻ともなりません、申刻少し前で、お粂が稽古事から帰って、二階へ上がると間もなく、大きな音がしたんで、吃驚して二三人飛んで来るとこの有様です」