Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 562 caractères · 291 écrans
「あの紐はなんだ」
納屋の二階から、狭い路地を隔てて相対したのはお粂の部屋、その部屋の格子に絡んで、下までダラリと下がった麻縄を平次は指さしました。
「重い箱を納屋の二階の手摺の上に載せ、ちょいと綱を引っかけておいて、こっちの格子から引けば、ちょうど下に居る主人の頭の上に落ちますよ」
勝造の舌は辛辣でした。
「畜生ッ、私を罪に陥す気かえ」
掴みかかりそうなお粂の気組、女が美いだけに、その激情的な顔は燃え立つ焔のような凄まじさです。
「そう一々啀み合っちゃかなわない、もう少し仲よくして貰いましょうか」
平次はさして気にする様子もなく、その辺の様子を丁寧に見廻りました。
昨夜雨が降った後ですが、ぬかるみへ狭い板が敷いてあるのと、板の無いところは大勢で踏み荒して、何が何やら少しも判りません。
納屋の二階はガラクタの入れ場で、手摺と言ったところで巌丈一方の丸木を鎹で締めた、形ばかりの物、その角になったところへ屑金物の箱を載せれば、いかにも紐一本で落せないこともありません。
それを引いたと言われる麻縄は、お粂の部屋の二階格子にダラリと下がって、下の泥を引いておりますが、下からでは主人総七に見られずに、その端が引けるわけはなかったのです。