Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 562 caractères · 291 écrans
そんな事を言いながらも、ツイ空きっ腹に沁み渡るアルコールの誘惑に克ち兼ねて、お互に警戒しいしい猪口を重ねます。
「さア、出かけよう」
植幸が号令をかけて、離屋の庭に勢揃いをしたのは、かれこれ子刻(十二時)――。
「えてものが店を張るのは、丑満と決ってるじゃないか。まだ少し早えよ」
力松はしたたかに酔って縁側からずっこけそうにこんな事を言っております。
「おっ母ア、離屋を頼むぜ、――帰って来たら熱い茶でも入れるように、後を片付けておいて貰おうか」
惨憺たる盃盤を振り返りながら、植幸は母屋へ声を掛けます。
「ハイハイ」
少し不平そうな返事をしながら、植幸の女房は母屋から出て来ました。四十八九という、女が一番冷たい頭を持つ年配で、男達の馬鹿な騒ぎが苦々しくてたまらないといった調子です。
「乳母や、私一人じゃ怖い」
「まア、お嬢さん」
植幸の女房の後から蹤いて来たのは、十七八の娘、遠い灯に照されたところを見ると、そのまま薫風を残して闇に消え入りそうな美しさです。
「お嬢さん、心配なさることはありませんよ、すぐ帰って来ますから」と植幸。
「でも――」
大勢の見ている手前、明るい離屋の方へ行くこともならず、娘は母屋の庇の下に、やるせない姿で佇んでおります。