Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(四)城の絵図面

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(四)城の絵図面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 139 179 caractères · 280 écrans

Aozora Bunko

「…………」

下女が返事をする前に、ガラッ八を目で麾いた平次は、畳屋との境になっている黒板塀の方へ近づきました。

南を塞がれているので、草花の育ちそうもない塀の下は、ジメジメした苔の上に、女下駄の跡だけが幾つかほのかに読めます。

「親分、男なんざ入った様子はありませんね。それにこの塀ときた日にゃ、まさか人間は潜られないが、バッタ、カマキリ、蝶々、蜻蛉は潜り放題だ」

全くその通りでした。畳屋の方こそ、黒々と塗って、大した不体裁もありませんが、こちらの方は見る影もなく荒れて、支えの柱は所々歪んだまま、曝されきった板は、灰色に腐蝕して、所々に節穴さえ開いております。

平次とガラッ八が塀際を離れて元の格子戸の前へ来ると、青い顔をした娘が少し取り乱した姿で目礼をしておりました。

「お町さんでしょうね、とんだお邪魔をしました」

「どういたしまして」

「気分はどうです」

平次は格子の中へ入って、言葉はひどく丁寧ですが、いつもに似ぬ図々しい態度で上がり框に腰を下ろしました。

「有難うございます、大したことはございません」

何という痛々しい感じのする娘でしょう。白粉っ気のない初々しさも充分に美しいのですが、可哀想に眉から左の耳へかけて火の燃えるような、赤痣です。