Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(四)城の絵図面
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(四)城の絵図面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 139 179 caractères · 280 écrans
そこには音次郎が、ポカンとした顔をして、自分の縄目を眺めております。
二十五六の立派な恰幅ですが、生れながら、する事も、言う事も、みんな定石が外れます。そのくせ馬鹿力があるので、いろいろの仕事を手伝って、町内の残り物を貰って暮している男でした。
「野郎ッ、何だってお袖を絞めたッ」
平次はいきなり浴びせかけました。
「だって親分、十七の娘を十七人殺すと、福があるって言うぜ」
恐ろしい言葉が、男の口から、スラスラと出るのです。
「それじゃ、お今やお三輪を殺したのも手前だろう」
「違うよ、親分、あれは、おらじゃねえ、先を潜って二人も殺されちゃ、町内の十七娘が種切れになるから、大急ぎでお袖を絞めたんだ」
音次郎の言うことには些しの嘘があろうとも思われません。それにお袖を絞めた紐の結び目が、この男の仕業を証明しておりますが、お今と、お三輪の場合は全く違います。
「そんな事を誰から聞いたんだ」
「それは言わねえよ」
「何?」
「言うと叱られるから」
「言わなきゃ打つよ」
「…………」
「牢へブチ込んでいつまでも物を食わせないが、それでもいいか、野郎ッ」
「言うよ、言うよ、打たれるのは平気だが、物を食わせないのはひどいや」