Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(四)城の絵図面
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(四)城の絵図面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 139 179 caractères · 280 écrans
しばらく経って、淋しく帰って行くお関の姿を、平次の女房のお静までが見送ったのです。
「お気の毒な、――何とかしてあげられないものでしょうか」
お静は睫毛を濡らしておりました。
「武家方のすることは、こちとらにゃ解らねえ、まアまア放っておくことだ」
「でも、親分」
八五郎は膝を乗出します。
「手前の顔は、お内儀へ喰い付きそうだったぜ、――高力左近様より、手近にもっと怖い狂犬がいると言ってやりたかったが、止したよ」
「親分」
「まア、腹を立てるな、女の顔を、穴のあくほど見る奴の方が悪いんだから」
平次は何もかも忘れてしまったように、ブラリと町内の銭湯へ行って来て、珍しくお静に一本つけさせました。さすがに十手も捕縄も及ばない世界に踏込んで、抜差しならぬムシャクシャした心を持扱ったのでしょう。
その晩。
「平次殿、嫁は見えませんでしたか」
あわてた姿で飛込んで来たのは、志賀内匠の母親加世でした。
「夕刻ちょいと見えましたが、――どうかしましたか」
「夕方一度出て帰って、それから、夕食後にまた出かけましたが――」
「はて?」
「何か使い走りの男が、手紙のようなものを持って来たようですが、それを見ると急にソワソワして、私の言葉も上の空に飛出してしまいました」