Classici giapponesi con furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Leggi みみずのたはこと (みみずのたわこと) di 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 265.437 caratteri · 530 schermate
四
夏の天に目ざましい変化があれば、夏の地にも鮮やかな変化がある。尺を得れば尺、寸を獲れば寸と云う信玄流の月日を送る田園の人も、夏ばかりは謙信流の一気呵成を作物の上に味わうことが出来る。生憎草も夏は育つが、さりとて草ならぬものも目ざましく繁る。煙管啣えて、後手組んで、起きぬけに田の水を見る辰爺さんの眼に、露だらけの早稲が一夜に一寸も伸びて見える。昨日花を見た茄子が、明日はもうもげる。瓜の蔓は朝々伸びて、とめてもとめても心をとめ切れぬ。二三日打っちゃって置くと、甘藷の蔓は八重がらみになる。如何に一切を天道様に預けて、時計に用がない百姓でも、時には斯様なはき/\した成績を見なければ、だらけてしまう。夏は自然の「ヤンキーズム」だ。而して此夏が年が年中で、正月元日浴衣がけで新年御芽出度も困りものだが、此処らの夏はぐず/\するとさっさと過ぎてしまう位なので、却ってよいのである。
四
夏の命は水だが、川らしい川に遠く、海に尚遠い斯野の村では、水の楽が思う様にとれぬ。
昨年の夏、彼は大きな甕を買った。径三尺、深さは唯一尺五寸の平たい甕である。これを庭の芝生の端に据えて、毎朝水晶の様な井の水を盈たして置く。