Classici giapponesi con furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Leggi みみずのたはこと (みみずのたわこと) di 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 265.437 caratteri · 530 schermate
憎むと枯れる
憎むと枯れる
戸を開けると、露一白。芝生には吉野紙を広げた様な蜘網が張って居る。小さな露の玉を瓔珞と貫いた蜘の糸が、枝から枝にだらりと下って居る。
門の入口に甘い香がすると思うたら、籬根にすいかずらの花が何時の間にか咲いて居る。
生々又生々。営々且営々。何処を向いても凄じい自然の活気に威圧される。田圃には泥声あげて蛙が「生めよ殖えん」とわめく。雀や燕は出産を気がまえて、新巣の経営に忙しく、昨日も今日も書院の戸袋に巣をつくるとて、チュッ/\チュッ/\喧しく囀りながら、さま/″\の芥をくわえ込む。蠅がうるさい。蚊がうるさい。薔薇にも豌豆にも数限りもなく虫が涌く。地は限りなく草を生やす。四囲の自然に攻め立てられて、万物の霊殿も小さくなって了いそうだ。
隣の金さんが苗をくれた南瓜の成長を見に来たついでに、斯様な話をした。金さんの家に、もと非常によく実る葡萄があった。一年家の新ちゃんが葡萄をちぎると棚から落ち、大分の怪我をした。それからと云うものは、家の者一同深く其葡萄の木を憎んだ。すると、葡萄は何時となく枯れて了うた。憎むと枯れる。面白い話。新約聖書に、耶蘇が実らぬ無花果を通りかゝりに咀うたら、夕方帰る時最早枯れて居たと云う記事がある。