Classici giapponesi con furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Leggi みみずのたはこと (みみずのたわこと) di 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 265.437 caratteri · 530 schermate
其後梁川君の遺文寸光録が出た。彼の名がちょい/\出て居る。彼の事を好く云うてある。総じて人は自己の影を他人に見るものだ。梁川君が彼にうつした己が影に見惚れたのも無理はない。
梁川君が遺文の中、病中唯一度母君に対してやゝ苛の言を漏らしたと云って、痛恨して居る。若し其れをだに白璧の微瑕と見るなら、其白璧の醇美は如何であろう。彼の様な汚穢な心と獣的行の者は慙死しなければならぬ。
*
梁川君の訃に接した其日井底に落ちた柄杓は、其の年の暮井浚えの時上がって来た。
然し彼は彼の生前に於て宇宙の那辺にか落したものがある。彼は彼の生涯を献げて、天の上、地の下、火の中、水の中、糞土の中まで潜っても探し出ださねばならぬ。梁川君は端的に其求むるものを探し当てゝ、堂々と凱旋し去った。鈍根の彼はしば/\捉え得たと思うては失い、攫んだと思うては失い、今以て七転八倒の笑止な歴史を繰り返えして居る。但一切のもの実は大能掌裡の筋斗翻に過ぎぬので人々皆通天の路あることを信ずるの一念は、彼が迷宮の流浪に於ける一の慰めである。
梅一輪
一
「お馨さんの梅が咲きましたよ」