Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

みみずのたわこと

みみずのたはこと

徳冨 健次郎

Leggi みみずのたはこと (みみずのたわこと) di 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 265.437 caratteri · 530 schermate

Aozora Bunko

畑では麦が日に/\照って、周囲の黯い緑に競う。春蝉が鳴く。剖葦が鳴く。蛙が鳴く。青い風が吹く。夕方は月見草が庭一ぱいに咲いて香る。

今日は雨が欲しく、風が恋しく、蔭がなつかしい五月下旬の日であった。蝉の音、色づいた麦、耳にも眼にもじり/\と暑く、光る緑に眼は痛い様であった。果然寒暖計は途方もない八十度を指した。

落葉木が悉皆若葉から青葉になった処で、樫、松、杉、樅、椎等の常緑樹や竹の類が、日に/\古葉を落しては若々しい若葉をつけ出した。此頃は毎日掃いても掃いても樫の古葉が落ちる。

気軽な落葉木の若葉も美しいが、重々しい常緑樹の柄にない嫩かな若葉をつけた処も中々好い。ゆさ/\と嫩らかな食えそうな若葉をかぶった白樫の瑞枝、杉は灰緑の海藻めいた新芽を簇立て、赤松は赭く黒松は白っぽい小蝋燭の様な心芽をつい/\と枝の梢毎に立て、竹はまた「暮春には春服已に成る」と云った様に譬え様もない鮮やかな明るい緑の簑をふっさりとかぶって、何れを見ても眼の喜である。

今夜はじめて蚊が一つぶゥんと唸った。

「蚊一つに寝られぬ宵や春の暮」

春は最早暮るゝのである。

(明治四十五年 五月二十六日)