Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みみずのたわこと

みみずのたはこと

徳冨 健次郎

Leggi みみずのたはこと (みみずのたわこと) di 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 265.437 caratteri · 530 schermate

Aozora Bunko

雪は終日降り、夜すがら降った。主は平和問題、信仰問題等につき、彼小笠原と反覆討論した。而して共に六畳に枕を並べて寝たのは、夜の十一時過ぎであった。

明くる日、午前十時頃彼は辞し去った。まだ綿の様な雪がぼったり/\降って居る。此辺では珍らしい雪で、一尺の上積った。彼小笠原は外套の頭巾をすっぽりかぶって、薩摩下駄をぽっくり/\雪に踏み込みながら家を出て往った。主は高足駄を穿き、番傘をさして、八幡下別れの杉まで送って往った。

「じゃァ、しっかりやり玉え」

「色々お世話でした」

傘を傾けて杉の下に立って見て居ると、また一しきり烈しく北から吹きつくる吹雪の中を、黒い外套姿が少し前俛みになって、一足ぬきに歩いて行く。第一の石橋を渡る。やゝあって第二の石橋を渡る。檜林について曲る。段々小さくなって遠見の姿は、谷一ぱいの吹雪に消えたり見えたりして居たが、一本檜の処まで来ると、見かえりもせず東へ折れて、到頭見えなくなってしもうた。

半歳の後、彼は郷里の南部で死んだ。

漢人の詩に、

歩出城東門、     遙望江南路、

前日風雪中、     故人従此去、

別れの杉の下に立って田圃を見渡す毎に、吹雪の中の黒い外套姿が今も彼の眼さきにちらつく。