Classici giapponesi con furigana
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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
Leggi 平の将門 (たいらのまさかど) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.193 caratteri · 463 schermate
「やあ、将門か。もっと、寄らぬか。そんな遠くに、屈まっていることはない」
良兼は、さりげなく、あしらった。――が、良正は、きのうからの事もあるし、嘘にも、仏いじりをしている良兼とちがい、平常でも、武勇を以て、近郷に鳴っている男である。てんで、甥の将門など、眼のうちにもないように、横を向いて、酒をのんでいたが、
「何しに来たのだ。何しに? ……」
と、いきなり将門の方を見ていった。
将門の全身が、感情にふくれて、丸くなったように見えた。が、彼は、手をつかえて、自分の烈しい面色を隠すように俯向いたのであった。
「帰国以来、つい、ご無沙汰しておりました……で、いちどは、ごあいさつに出なければと、思いまして」
「礼に来たのか。多年の礼に」
「……え。……まあ、そうです」
「まあとは何だ。夙くに、石田の大叔父へも、ごあいさつに伺うのは当然だ。行って来たのか」
「いえ。まだ、参りません」
「なぜ行かん。ここへ来るなら、通り道ではないか。すべてのやり口が、和主のは、取ッちがっておる。用でもない郡司や近郷の有象無象を、帰国披露目に、豊田へ招いたりして。――そんな見得より、なぜ、恩義のある大叔父の館へ、永々、留守中には、えらいお世話になりましたと、いって歩かないか」