Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
Leggi 平の将門 (たいらのまさかど) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.193 caratteri · 463 schermate
白いえり首が、だらりと黒髪に巻かれていただけである。そして一名の獰猛そうな男が、彼女の両足を裳裾ぐるみ持っていた。二人がかりで、ひきあげて行くのだ。ほかの仲間も、離れ離れに、浅瀬をえらんで、ザブザブと、もとの対岸へ、渡って行く――。
「待てっ」といったのか「泥棒っ」と怒鳴ったのか、小次郎には、わきまえもなかった。意識にあったのは、瞬間に見た紫陽花の君の白い顔だけだった。その美しさが、彼を無謀にさせたといえよう。いきなり、賊の毛脛へしがみつき、力いっぱい、持ち上げたのだ。ついでに――彼女の足の方を持っていた男の横顔をも、撲りとばした。
足もとに、石ころや河鹿はいても、まさか人間がいようとは、賊も、思いもしていなかった。――わっと、喚きながら、紫陽花の君を抱えたまま、浅瀬のしぶきへ、よろめいた。そして大声で、これも先へゆく仲間の者へ、何か怒鳴った。
まっ先に、そばへ来たのは、一ばんさいごに、館から引きあげてきた賊の頭目らしい男だった。
「何を騒ぐ。騒ぐこたあない」
と頭目は叱った。さすがに落ちつき払ったもので、すぐ小次郎のうしろへ廻って、襟がみをつかんでしまった。