Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

Leggi 火星兵団 (かせいへいだん) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 307.889 caratteri · 618 schermate

Aozora Bunko

博士は、気のどくなくらいがっかりして、

「たった一日でいいが、貸してくれんか」

「いや、だめです」

「じゃあ、もう十分か二十分か見せてくれんか」

「だめです。お断りします」

「そんなら、ぜいたくは言わない。もう五分間見せてくれ」

課長は博士の頼みをあくまでもしりぞけた。そうして箱にふたをしてしまったけれど、箱を元の金庫にしまうことはしなかった。

「ねえ、博士」

博士は、箱をじっと見つめて、よだれをたらさんばかりであった。返事もしない。

「ねえ、博士。さっきあなたは国際放送をお聞きでしたか。地球がモロー彗星に衝突するという……」

課長のこのだしぬけの質問は、博士を驚かせるに十分であった。

「なに、地球がモロー彗星に? そんなことは、わしには前からわかっていたが、誰がそんなことを君の耳に入れたのか」

「国際放送ですよ。ロンドンとベルリンとからです。どっちもりっぱな天文学者が放送しました」

「ふうん、そうか。あいつらもやっと気が附いたとみえるのう。それで、わが日本では、誰が放送したのかね」

「まだ誰も放送していません」

「なぜ放送しないのかね。号外は出たのかね」

「いや、どっちも今、報道禁止にしてあります。