Classici giapponesi con furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Leggi みみずのたはこと (みみずのたわこと) di 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 265.437 caratteri · 530 schermate
そこでよく火事が起る。彼が隣の墓地にはもと一寸した閻魔堂があったが、彼が引越して来る少し前に乞食の焚火から焼けて了うて、木の閻魔様は灰になり、石の奪衣婆ばかり焼け出されて、露天に片膝立てゝ恐い顔をして居る。鎮守八幡でも、乞食の火が険呑と云うので、つい去年拝殿に厳重な戸締りを設けて了うた。安さんの為に寝所が一つ無くなったのである。それかあらぬか、近頃一向安さんの影を見かけなくなった。
「安さんは如何したろ?」
彼等はしば/\斯く噂をした。
昨日婢が突然安さんの死を報じた。近所の女児が斯く婢に云うたそうだ。
「安さんなァ、安さんな内のお安さんが死んだ些前に、は、死んじまったとよ」
近所のお安さんと云う娘が死んだのは、五月の初であったから、乞食の安さんは桜の花の頃に死んだものと見える。
安さんは大抵甲州街道南裏の稲荷の宮に住んで居たそうだ。埋葬は高井戸でしたと云うが、如何な臨終であったやら。
「あれで中々女が好きでね、女なんかゞ一人で物を持って往ってやるといけないって、皆が云ってました」
と婢が云うた。
安さんが死んだか。乞食の安さんが死んだか。
「死んで安心な様な、可哀想な様な気もちがしますよ」