Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みみずのたわこと

みみずのたはこと

徳冨 健次郎

Leggi みみずのたはこと (みみずのたわこと) di 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 265.437 caratteri · 530 schermate

Aozora Bunko

かさ/\かさ/\頭上に細い葉ずれの音がするかと思うと、其れは樫君が口を開いたのであった。

「然つけ/\云わるゝと、俺は穴へでも入りたいが、まあ聞いてくれ。そりゃ此処に斯うして毎日君の活動を見て居ると、羨ましくもなるし、黙って立って居る俺は実以て済まぬと恥かしくもなるが、此れが性分だ、造り主の仕置だから詮方は無い。それに君は俺が唯遊んで昼寝して暮らす様に云うたが、俺にも万更仕事が無いでもない。聞いてくれ。俺の頭の上には青空がある。俺の頭は、日々夜々に此青空の方へ伸びて行く。俺の足の下には大地がある。俺の爪先は、日々夜々に地心へと向うて入って行く。俺の周囲には空気と空間とがある。俺は此周囲に向うて日々夜々に広がって行く。俺の仕事は此だ。此が俺の仕事だ。成長が仕事なのだ。俺の葉蔭で夏の日に水車小屋の人達が涼んだり昼寝をしたり、俺の根が君を動かす水の流れの岸をば崩れぬ様に固めたり、俺のドングリを小供が嬉々と拾うたり、其様な事は偶然の機縁で、仕事と云う俺の仕事ではない。俺は今一人だが、俺の友達も其処此処に居る。其一人は数年前に伐られて、今は荷車になって甲州街道を東京の下肥のせて歩いて居る。