Classici giapponesi con furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Leggi みみずのたはこと (みみずのたわこと) di 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 265.437 caratteri · 530 schermate
落つけよとの雨が終日降りくらす。翁の室と板廊下一つ隔てた街道側の八畳にくつろいで居ると、翁は菓子、野葡萄、玉蜀黍、何くれと持て来ては鶴子にも余等にも与え、小さな炉を中に、黒い毛繻子の前掛の膝をきちんと座って、さま/″\の話をする。昔からタヾの医者でなかった翁の所謂灌水は単に身体の冷水浴をのみ意味せぬ如く、治術も頗活機に富んだもので、薬でなくてはならぬときめこんだ衆生の為に、徳島に居た頃は不及飲と云う水薬を調合し、今も待効丸と云う丸薬を与えるが、其れが不思議によく利くそうだ。然し翁の医術はゴマカシではない。此を見てくれとさし出す翁の右手をよく見れば、第三指の尖が左の方に向って鉤形に曲って居る。打診に精神がこもる証拠だ。乃公の打診は何処をたゝいても患者の心臓にピーンと響く、と云うのが翁の自慢である。やがて翁は箱の様なものを抱えて来た。関家の定紋九曜を刳りぬいた白木の龕で、あなたが死ぬ時一処に牧場に埋めて牛馬の食う草木を肥やしてくれと遺言した老夫人の白骨は、此中に在るのだ。翁も夫人には一目置いて、婆は自分よりエラかったと口癖の様に云う。それから五郎君の噂が出る。