Classici giapponesi con furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Leggi みみずのたはこと (みみずのたわこと) di 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 265.437 caratteri · 530 schermate
露の乾ぬ間の朝顔は、云う迄もなく碧色を要素とする。それから夏の草花には矢車草がある。舶来種のまだ我邦土には何処やら居馴染まぬ花だが、はらりとした形も、深い空色も、涼しげな夏の花である。これは園内に見るよりも Corn flower と名にもある通り外国の小麦畑の黄ばんだ小麦まじりに咲いたのが好い。七年前の六月三十日、朝早く露西亜の中部スチエキノ停車場から百姓の馬車に乗ってトルストイ翁のヤスナヤ、ポリヤナに赴く時、朝露にぬれそぼった小麦畑を通ると、苅入近い麦まじりに空色の此花が此処にも其処にも咲いて居る。睡眠不足の旅の疲れと、トルストイ翁に今会いに行く昂奮とで熱病患者の様であった彼の眼にも、花の空色は不思議に深い安息を与えた。
夏には更に千鳥草の花がある。千鳥草、又の名は飛燕草。葉は人参の葉の其れに似て、花は千鳥か燕か鳥の飛ぶ様な状をして居る。園養のものには、白、桃色、また桃色に紫の縞のもあるが、野生の其れは濃碧色に限られて居る様だ。濃碧が褪えば、菫色になり、紫になる。千鳥草と云えば、直ぐチタの高原が眼に浮ぶ。其れは明治三十九年露西亜の帰途だった。