Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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けんなんじょなん

剣難女難

吉川 英治

Leggi 剣難女難 (けんなんじょなん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 243.807 caratteri · 482 schermate

Aozora Bunko

その迅業に、たちまち、右に二人、左に一人、朱を流して打っ仆れた様を見て、かなわぬと見たか、残る四、五人の山手組は、思い思いに八方へ逃げ散った。

「ちぇッ、口ほどにもねえ奴らだ」

来国俊の血糊を拭って、そのまま、行き過ぎようとすると、ばらばらと追いすがった二人の虚無僧が、左右の袖を掴んで、

「もしや其方は新九郎ではないか」

「新九郎様、おお、新九郎様に相違ござりません」

「珍しや新九郎、かく言う拙者は兄の重蔵、これにおるのは千浪であるぞ、そちは、嵐の夜に、隅田川から行方知れずになったと聞いたが、よう無事でいてくれたのう」

咄嗟のことであったので、二人は、夢かとばかり、声さえ、ともすると涙まじりになる。

「な、なにを言うんでえ!」

案に相違して、突っ慳貪に、両袖を払った新九郎は顔を上に反向けて、わざと、言葉まで常より荒い伝法づかい。

「なるほど拙者あ、新九郎という者にゃ違えねえが、お前たちを見るのは今が初めて、江戸生れの武家侠客で、名さえ、御曹子の新九郎という者だ。人違いをしねえがいい」

「え、では同名異人でござったか……」

「いえいえ、姿も言葉も、まったく昔とは変っておいで遊ばすが、たしかに春日新九郎さまでござります。